勉強して受ける応用情報の午後選択(7) 経営戦略は午後対策から入る

色々な人がこの試験について共通で言ってることとしては,

  • 午前対策は過去問中心に基礎を固める
  • 午後は過去問
  • 過去問以外の素材は著者の思い込みが入りがちなのでとにかく過去問を使う

といったところである。問題なのは,その順番や使い方である。ここは,人それぞれで適性もあるので適した使い方が違ってくる。

ここでは,経営戦略について,過去問の使い方については人とは違う視点で書く。通常は午前→午後の順番で演習するのだが,それを逆にするのはどうだろうかと。先に午後から入って,午後を午前の教科書替わりに使ってみながら勉強してみようと。それによって,

  • 午前の定着を高める(暗記でない感じにして暗記容量を少しでも空けられれば運が良い)
  • 午後で取れたらそのときは運が良い

というように考えてみませんかと。特に午前の羅列から入ると挫折しやすい人はそうしては?というのが一つの理由。

もう一つの理由は,実は理系ってストラテジの思考部分は普通にできる人が多いから,午後を先に触れることで早めにそれに気づければ運が良くないですか?と思うからである。以下,これについてだらだらと書いていく。

教科書の経営戦略の記述は公式・定理のみ書かれた本

応用情報の本は,このセクションはとにかく具体例が少ない。ページ数の関係上,仕方がない。

イメージで言うと,数学や理科の教科書で,定義は書いている・公式らしきものは書いてある。しかし,数値例すら書かれていない,といった感じである。あとは,少し4択の過去問がついてます,みたいな感じ。

数学や理科でそんな本で勉強しろと言われて勉強ができる人がどれだけいるのだろうか?しかし,なぜかこの試験になるとできるという人が多いのである。

ストラテジは,羅列の書き方でも,経済・経営慣れがあれば(これは本の上だけとは限らない。社会人経験とかニュースをどれぐらい見てきたかとうかそういのも含む。)頭に入るのだとは思う。自分の場合は,なんとなくの経済学経験で補いながら読んでるのでまあ読める。

しかし,そういうイメージができない人にとっては,ここは単語カードコースである。それは覚えにくい。やってられるかになるのは必然である。

覚えるのが面倒なだけであって考え方は意外といけるのでは

経営戦略について,あまり覚えてなかったとしても,いざその場で取るとできることがある。そして,こんなの日常とか常識だとか後から言う。

なぜそうなるか?実は,だいたいの人は頭の使い方はわかっている。ただ,それを過去の学者がどう名前をつけたかを分類して整理して覚えていくという作業をやってない(やりたくない)だけなのである。特に,午前はそういう作業なので,やってられるかになる。

言い換えると,多くの理系の人(を中心としたこの試験の受験者層)たちはフレームワークとかモデル思考で考えることは本質的には可能なのである。ただ,それを意味もなく並べて暗記するのが無理だというだけである。教科書は,このただ並べただけの書き方をしている。

だったらどうするか?ケースから先に入るのである。ケースで思考法だけ先にやっておいて,それに対して後から本で一つ一つラベルをつけていく。あるいは,ケースと同時にラベルと対応付けていく。そのケースとして午後の問題を使うのである。あるいは,午前の知識暗記のトリガーとして午後のケースを使うとも言える。

ただし,フレームワークを社会というものにあてはめること特有のあいまいさとかに耐えられない人は,そもそもここは無理。そういうのさえなければ割といける,といった感じ。

最近の問題傾向を逆手にとって午後問を経営戦略の教科書にする

最初にも書いたが,最近の問題傾向として,これ午前ですか?みたいな問題が最初に並ぶ。経営戦略もその感が強い。

そこで,それ午前ですか?も解きつつ,教科書に戻って例と説明を一体で理解していくのである。

R2のPESTだったら,Political, Economy, Society ,Technology(何回これを覚えようとしても忘れる・・・・)とかして覚えるまでは当然なのだが,そっからの具体例がストーリーでないと覚えられない。

R2の午後問題を見ると,これをどう適用して分析をしていくのかが書かれている。したがって,この例を読み込んでおくと,このフレームワークは覚えやすくなるだろうということである。少なくとも,覚えようとしていることは,無意味な文字の羅列でないと錯覚させるには十分である。

この作業,言い換えると,教科書分類とは別の方向で,過去問で何本か暗記軸を作る作業とも言える。

演習用の問題がなくなるのでは?

本命で取りに行く問題なら,演習がないという視点もありえる。しかし,この分野は保険なのである。保険にガチなど必要ないのである。

こっちが狙ってる効果は,最初にも書いたように,ケースと概念の往復をすることで,

  • 午前の定着を高める(暗記でない感じにして暗記容量を少しでも空けられれば運が良い)
  • 午後で取れたらそのときは運が良い

という効果しか考えてない。午前の反復演習よりは楽しく取り組めて,運が良ければ午後もできるでしょう!的な勉強法である。

あと,テクノロジ系と違って結局は最後はセンス,みたいなとこがあるので,そういう意味でも演習による点数の変化は高くない。よって,残しておかなくても良いでしょう,という感覚もある。

お勧めの薄い辞書

午後を読みながら知識を確認するための補助の本としては,

  • 薄くて図がしっかりあって
  • そこそこわかりやすい説明がある
  • 読み飛ばしたときのレイアウトが良い(毎日パラ見しての定着学習を意図してるので)

ぐらいの条件が欲しい。最近,そういう本をやっと見つけた。

日経文庫のビジネス・フレームワークを使う。これを読み飛ばしに使っても良いし,出てきた用語とこれを関連付けるだけにしても良い。著者が工学系(理系)なので,わりと理系理系した人にも肌に合う説明だと思う。

理系感覚との類似

別の記事でそのうち書くが,理系の人は,監査・サービスマネジメントより,経営戦略の方が頭の使い方が近いような気がする。良い本・良い演習メソッドさえ確立されれば,普通にSM・監査より良い問題に化ける感覚がある。

勉強してない状態で前半の知識穴埋めはさっぱりだが,後半の記述のポイントは当てられる,という人はそれなりにいそうで,そういう人にとってはこれを勉強しない手はない。

こういう人は理系にそこそこいそうという実感はある。こういう人は,午前から入るとやってられるかになるが,午後から入るといける,と感じる人もいそう。よって,こういう記事を書いてみた。

専門家との共通点・相違点

三好先生は,午前・午後を別に考えて固めていく,午後は過去問を教科書にすると書いている。ただ,いきなり午前をしっかり知識として固めていくという作業は,単純暗記系の苦手な人にはやりにくいのではないか?という問題意識である。

その問題の解決の一つとして,午前の無意味暗記を有意味にするためのトリガーとして午後を使おう,というのである。午前と午後がある程度は独立している(午後が知識偏重ではない)こと,難しい積み上げ系理論ではないので,それは実行可能だろうと。

最終的に考える仕上がり状態は大きくずれてないとは思う。要は,分類・整理・暗記から入っていくか,ストーリーから入っていくか,の違いでどっちが向いているかだけの問題である。そして,暗記段階でも分類・整理から入るのでなく適度にストーリーを入れる方が暗記の手段としても効率的という知見もないこともない。