時間をかける応用情報のセキュリティ対策(6)瀬戸本を使った勉強法の一案

テキストは良いとはいえ,読み流しでいけるとも限らない。以下,独断と偏見による勉強法の一例を示しておく。

最低限の前提知識

いちおう,多少の基礎知識の前提はクリアしておいた方が良い。

  • キタミ式のネットワーク・セキュリティの部分(基本情報・応用情報どっちでも)
  • iTECの応用情報の午前本のネットワーク・セキュリティの部分
  • 基本情報のセキュリティ・ネットワークの問題を新しい方から3セットずつ

ぐらいはやっておくと良いと思う。いずれも完璧でなくてもないが,まあなんとなくはわかってるよね,でやる感じ。あとは,このテキストを読みながら戻ってきて復習などもやると,より定着して良いと思う(あるいはこのテキストを調べながらとか)。

手をつける部分

9章後半のセキュアプログラミングだけは除外して良いと思う。

演習問題は午前のみ。午後は,応用情報午後がそこそこできるようになってきたらやっても良い,ぐらいの感じ。

基礎固めとしての使い方

わかりやすい本を読み流すと頭に入りきらない。しかし,意味不明のものをいきなり演習すると初期学習がしんどすぎる。そのバランスを取りながらやる。

勉強としては,このテキストの特徴を使って,次の2つを毎日繰り返すことを最初の勉強とする。

  1. 説明直下の4択を気合を入れずに解いていく 。そのついでにぱらぱら説明を読んでいく。
  2. 図や目次もぱらぱらと読んでイメージや全体像をつかむ。

これで,頭に地図を作る。このテキストをそこそこの速度で回せる頃には,それなりの実力になっているので,後はどんな勉強法に接続してもどうにでもなる。

自分は試していないが,付録スマホアプリも併用すると良いと思う。

「読む」と「気合」の中間を毎日

こういう勉強は,最初から気合を入れると挫折する。そこは徹底的に注意する。その代わりに,すなわち回数を繰り返すという成果を取る。そして,回数を重ねる中で徐々に塗り方を濃くするイメージで取り組む。

とにかく毎日続くように適度に自分を甘やかす。逆に甘やかしてもそこそこの成果が出るように,基本線を「読む」という単純インプットでなく,「4択」という軽いアウトプットに取っている。また,どんなに甘やかした演習でも,テキストを開く限りにおいては目次と節タイトルぐらいとイラストぐらいは目に入るので,そういう効果も狙っている。

甘やかし方の例としては,以下のようなものが考えられる。

  • 最初から誤答の選択肢も完全に理解しきろうという崇高な考えを持たない
  • 理解がしんどいと思ったら,とりあえずわかるとこだけ理解して次の問題行く
  • 最初は必ず前の日に解いた問題からやる
  • しんどい日は,以前にやった問題の中で楽に解ける問題だけをやる
  • 最初は問題文を全部読み終えて5秒考えて(0は良くない)答えを見る。最初は問題文を読むだけでも大変なので読んだという自分をほめてあげる。

タイマーをかけるのも良いと思う。とりあえず毎日10分タイマーかけて,その時間だけは4択演習をやるとか。(この分数の値は各自の気合力と理解力のバランスで最適値を選択する。勉強プロセスの中で変えていっても良い。最初は10分連続が厳しければ朝5・夕5にわけてみるとか。)。

週末(週1ぐらいは最低)は気合入れ系勉強を

余裕があれば,週末とかの気合の充実したときにちゃんと読むはできればする。あるいは,毎日10分で理解しきれなかった午前問題をきちんと調べるとか(ネットワークは特にそういうとこがありそう)。さすがに気合系勉強ゼロでは完成しないので。この気合系勉強の時間を減らしたり効率を上げたりするために,甘やかしても良いので毎日10分をやるとも言える。(10も一例なので,ここはその人の気合次第。気合が続く範囲で足すのは。減らすのはさすがに。)

紙の本でやることが大事

この演習は紙の本でやることが大事。本で順番に紙をめくりながら演習していくことで,周囲の情報を少しずつ目に刷り込んだり,節タイトルや目次を何度も目にさせて体系を刷り込ませていくという作戦なので。

テキストと過去問は一方向でなく双方向で考えたい

テキストで知識を入れるのは,

  1. 何が重要かということを過去問から自分で分析できる
  2. 過去問を抽象化して次の問題に転用できる形で頭にインプットできる力を身に付ける

というレベルに到達するためである。しかし,この試験の勉強の難しいところは

  1. 教科書的知識がある程度はないと過去問から知識は吸収しきれない
  2. 過去問の演習経験を経ないと教科書の記述を本当の意味で理解できない・頭に入らない

ことだと思う。また,教科書を超完璧にしてから過去問には,最後までいかないという挫折リスクが常に付きまとう。かといって,過去問いきなりだとそもれそれで挫折要因がある。この2つのバランスをどう取るかが難しい。

そこそこのインプットで午後演習に踏み切る

これを踏まえて,教科書が程良く入ったとこで(教科書見ながらで良いので)午後の過去問に手を付けることにする。そして,過去問を解いたら教科書に戻って,また過去問に戻ってを繰り返す。世間ではここを一方向で考えている記事が多いが,両方向で捉える方が良い。

このサイクルに入るのは,4択が軽く回せるようになってきたな,ぐらいからが適度な感じだと思う。ここは人それぞれで,往復をやってて苦しくないなと思う完成度からやれば良い。

過去問と教科書は一方向でなく双方向で

過去問と知識との往復というのは主に2つの工程がある。

  • 毎日午後4択を回し続ける勉強の中で,これ過去問でみたと思いながら頭で関連付けを作る。
  • 過去問を解いたら該当箇所のテキストを確認する

したがって,午後の過去問を解き始めても,毎日4択を回し続ける勉強は継続する。ただし,今度は解くことだけでなく(解くは絶対継続),解くついでの読むとか眺めるにウェイトをかける。午後の過去問解いてると,最初とは違う気付きが出てくるので,それを吸収していく。

章末の午後1ぐらいは余裕次第

章末の午後1は,余裕があればぐらいの感じ。なお,午後1を何問かじっくりと解くと,応用情報の問題がものすごく平和な問題に見えてくる効果もある(経験上)。

(雑記)この本を使った過去問トレーニングは色々研究中

研究すればするほど,この本は支援士用の本でなく応用情報用の本という確信が強くなってきてる。。。。

努力しているのに落ちやすい人というのは,一問一答系を繰り返すだけでは午後問題に活用できない人で,瀬戸先生はそれらの要因の一つに「国語力の不足」を挙げていて,そういう人は多めに過去問とか中・高国語をしましょうとか書いてる。

私は問題認識は似ているのだが,もう少し過去問に即した具体的な方法論があるのではないか?を問題意識として持っている。今,この件を自分を人体実験にして現在研究中で,これはできたらそのうち。

キーワードはメタ認知。開発しようとしている訓練は,この本と過去問を突き合わせて自分でポケスタみたいなのを作る作業をすることで何かができないかと。ポケスタの知識を覚えるのではなく「作る」「作るプロセス」の中での気付きの中で何かを得るアプローチ。この本はそう勉強をするのに鍛えるのにものすごくうまくできてる(常識を言語化してるという言葉で初回に書いた通り)。