今年の入試問題を解いていて

お手軽な某国立大学の文系の問題を解いていたら,こんな問題があった。

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 \cos B = -4/5とする。このときにBHの長さを求めよという問題。


 \displaystyle
 AC^2= 16^2+25^2-2 \times 16 \times 25 \times \left( -\frac{4}{5} \right) = 1521

になるので,AC=39となって後はBHが出るという構図らしい。

こうすれば典型なのはわかる。しかし,1521を39に直せるなんて気付くのか。すごいな。。。

ここまでの誘導

そもそもこの問題,色々な紆余曲折を経て前問では


 \displaystyle
(\cos B, \sin B ) =  \left(-\frac{4}{5}, \frac{3}{5}  \right)

を導かせて,この問ではACとBの点と直線の距離を求めよという形式での出題である。しかも,BC=25, AB=16はこの問のためだけに急遽与えらた数値てある。急遽数値を与えるということは,計算が簡単になるように与えるはずである。したがって,16と25という数値を与えてきた時点で,162 + 252 などという計算をさせることが想定解法だとは思わない。回避を考えるのが自然である。

また,辺の長さの25にcosやsinかければ座標はきれいな値になることは数値を見た瞬間わかる。そうなるように25という数値を与えてきたのだなとも読む。とりあえず,Cは座標設定しておいてゆっくり考えてよさそう。ということは,座標設定して点と直線の距離の公式に持ち込めというのが誘導だと思った。Bを原点においてしまえば,計算量など知れているし。

図を描いてると余弦定理導出と同様にできることに気付く

ただ,それすらも直線の式計算するのは嫌だな。2桁の数の引き算なんかしたくないしと考えた私は図を描いていくうちにひらめいた。余弦定理の導出相当の図を描けば,sinAが求まるのでこれ簡単だと。すなわち,次の図が思いついたということ。

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この図より, \mathrm{CH}:\mathrm{AH} = 15:36 = 5:12であることがわかりこれは5,12,13の直角三角形だから斜めは13。三角比は縮小した三角形で求めて良いので


 \displaystyle
 \sin A = \frac{5}{13}

であることがわかる。これさえわかってしまえば,


 \displaystyle
\mathrm{BH}=  \mathrm{AB} \times \sin A = 16 \times  \frac{5}{13} = \frac{80}{13}

となることがわかる。この解法のポイントは,三角比を考えることで比の部分でうまく数値が小さくなるということである。また,出題者は5:12:13をうまく使って問題を作っていることもわかる。

ただ,この解答は書きにくい。だったら,表の式は余弦定理導出で計算してACの長さを導出してしまったことにして答えを書けば良い。さきほど,1/3の三角形に縮小して考えたので,ACは3倍してあげれば良い。答えさえわかってしまえばやり放題である。

今後の教訓としては,今のプロセスを一般的な式にすれば,


 \displaystyle
\mathrm{BH}=  \left(\mathrm{AB} + \mathrm{BC} \cos B \right)^2 + \mathrm{BC} \sin ^2 B = (16+20)^2+15^2 =3^2(12^2+5^2)

のような感じにすると,2乗の箇所が2か所で済むので計算が楽になることもあるぐらいか。ただ,コンピュータ時代には全くの不要な知識なのだが。。。

普通に座標に置くとしてもそんなに難しくない

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ACの式は


 \displaystyle
 y = \frac{-15}{16-(-20)} (x-16)

で傾きがうまく約分できて,いい感じで変形すると


 \displaystyle
5x + 12y -5 \times 16 = 0

になって,点と直線の距離の公式を使うと


 \displaystyle
 \frac{|-5 \times 16|}{\sqrt{5^2 + 12^2}} =  \frac{16 \times 5}{13} = \frac{80}{13}

となり,普通に肩がつく。この解法でも,傾きのとこで約分が効くことと,5,12,13が出てくることで計算が楽になっている。