現実に使わない道具を使った現実のデータの分析風の授業は嫌い

職場でgeogebraでデータの分析の授業をやる例があることを知った。

とりあえず、その例も含めて、データの分析の授業で現実のデータを扱う例をインターネット上で2例ほどみた。

  1. プロ野球の球団ごとの(勝利・敗北など)データを与えて、そこから2変量を適当に抽出してgeogebraでプロットと相関係数を求める
  2. 総務省統計局Webサイト「なるほどデータ for きっず」の「おやくだちデータ倉庫」内の都道府県別データから適当に2変量を選んで相関係数を求めていろいろと交流する(Excel使用)

1.に思うこと

家でこのデータの分析の続きをすることになったとしよう。このためだけにgeogebraをインストールすることは考えにくい。実際に家に帰ってできないデータ分析の授業など意味があるのだろうか?

2.に思うこと

やっていること自体は悪くはないと思う。ただ、何組もの関係を予想しないといけないときにちまちまとExcelGUIでやりたいか?とは思う。同じ作業を繰り返して「やりました」感を出すのは、わざと大変さを思い知らせるときとか、操作そのものの教育のとき以外では意義が感じにくい・・・

絨毯爆撃系はCUIを使うのが筋が良い

1.も2.も絨毯爆撃をしてしまえば済む話である。いずれの授業も2変量を選んでから描くという流れになっているが、適切な道具を使えば逆の流れもできる。すなわち、全通りの散布図と相関係数を出して置いてのんびり考えようということである。Rだったら、とりあえずcorやpairs使って全部の相関係数とか散布図をだして置いて、それからのんびり考えるところでしょう。行列の形から、相関係数を絶対値1に近いペアの順に並べ換えるのは少し頭を使う必要がありそうだが。(たぶん探せば何かある)

自分が授業をするときには「世の中にはもっと簡単に絨毯爆撃をする方法があるけど、Excelを使う練習としてわざと効率の悪い方法をまず基本として教える。効率の良い使い方はたぶん忘れたり、あるいは環境で使えなかったりするから。」とエクスキューズを入れて授業をするけど。

そして、最後にとどめを刺すかのようにCUIでやったものを見せると思う。いかに道具を知っているかということが重要かを思い知ってもらう。

学校社会の外にいる人間なので

教育用ソフトは、Web上の情報が少ない。日本語前提の教育用ソフトだと、日本の高校教師が書いたものしか出てこない。

生徒側の立場としても、こういう学校限定のソフトは良くない。生徒側が仮に興味を持ったとしても、その後自力で深く学んでいけるのだろうか?

私は、自分が教えられることは大したことではないと思っている人である(そして現実もそれと一致している)。よって、興味を持った生徒は勝手に自習をしてほしいと思っている。それだけは邪魔したく無いとも思っている。

自習するときは、できるだけ優秀な方が書いたもので学んで欲しいと思っている。よく使われている良い道具の使い方は、優秀な方が書かれた良い教材が多くある可能性が高い。したがって、紹介する道具は良いものにしたいとは考えている。

(この手の話・今後も手を変え品を変え書くことになると思う。今後、タイトルを被せてしまわないか、今から心配で仕方がない。)