今年度の入試問題を解いていて(2)

かなり前に書いた記事のお手頃な入試問題と同じ大学のお手頃問題。河合塾ではやや難。

条件付き確率の問題で,分母を簡単に取り換えると解きやすいという問題。ただ,厳密っぽく書けないから解答はそれでは書かないけど。結局,条件付き確率は。分母をなんとなくうまく取り換えられるかが全てだと思っている。その考え方は,解答は書きにくいので計算をしたふりはするけど。この感覚をつかむのは,個人的にはプログラミングのための確率・統計が一押しなんだけど,高校生にこれ全部読めは重いしなと思いつつ。

問題

まずさいころを投げる。出た目を a_1としておく。次にコインを投げる。表がでれば b_1=1となる。裏がでれば b_1 = a_1となる。これを3回繰り返して a_2, a_3, b_2, b_3を作る。

今, b_1=1, b_2=1, b_3=1の下での条件付き確率を考える。

  1.  a_1=1, a_2 = 1, a_3 = 5となる条件付き確率を求めよ。
  2.  a_1 + a_2 + a_3 = 7となる条件付き確率を求めよ。

なんとなく考えたこと

1.で考える。まず,3回のさいころをふる試行は独立。したがって,Bを b_1=1,b_2=1,b_3=1の事象を表すということにしておくと


 \displaystyle
 P(a_1 =1, a_2=1, a_3 = 5 \mid B ) = P(a_1=1 \mid B) \times P(a_2 =1 \mid B) \times P(a_3=1 \mid B)

となる。1回目のさいころの値は, b_2, b_3とは相互に一切影響がない。2回目以降も同様。したがって,求めるべき確率は


 \displaystyle
  P(a_1=1 \mid b_1=1) \times P(a_2 =1 \mid b_2=1) \times P(a_3=1 \mid b_3=1)

とできるはず。 b_1 = 1の下でのa_1の条件付き確率の分布を考える。

ここで,まず,次のような直感が出てくる。 b_1が1になるのは,

  • コインが表でサイコロの目はなんでもよしと
  • コインが裏でサイコロが1が出たとき

の2通りである。ということは,1がちょっと出やすい条件付き分布になるはずである。それを計算で確認する。それぞれの条件付きでない確率を出すと

  • 1~6のいずれかで表 :  1/6 \times 1/2
  • 1が出て裏 :  1/6 \times 1/2

でこれが全ての場合。また,1~6が出て表(6パターン)と1が出て裏(1パターン)は等確率なのがわかるので,全部足して1にするには分母を7にとってやればよい。よって, a_1の条件付きの分布は1が2/7で残りのさいころの目が1/7となることがわかる。あとは計算すると


 \displaystyle
  P(a_1=1 \mid b_1=1) \times P(a_2 =1 \mid b_2=1) \times P(a_3=1 \mid b_3=1) = \frac{2}{7} \times \frac{2}{7} \times \frac{5}{7} = \frac{4}{343}

とできる。

この考え方,1ではたいしたことがないが,2では大きく影響してくる。

2は普通にやると, a_i=1とそれ以外の分母が根本的に違うことになる。例えば, (a_1,b_1) = (1,1)の確率と (a_1,b_1)=(3,1)の確率を求めるときで,分母が違ってくる。で,場合分けして足すことになるので,計算が面倒なのである。解答速報の式を見ていると全部分母を12で揃えて


 \displaystyle
 \frac{12+12+6+3}{12^3}

としているが,こんなのやりたくない。ただ,解答にはこう書くけどね・・・

しかし,条件付き確率の扱いが中途半端なせいでただの分数計算がやっかいになってる現状って少し悲しい気もする。。。。