LinuC レベル1 (Ver10.0) の変更点についての注意 暗号化が2つの試験にわかれてる件(あずき本を読むときの注意)

LinuCのレベル1について,旧試験の暗号化の範囲が,2つのセクションにわかれたように読める。新旧対照表では明示的に書かれていないが,2つのシラバスをきちんと比べると読みとれる。いちおう,あずき本でも2つに説明を分けているし,脚注でもちゃんとそれは触れられている。

ただ,それでも少しわかりにくくないか?と思ったので書いておく。

Ver4.0とVer10.0の暗号化範囲のおおまかな違い

まず,Ver4.0では2の試験の1つに全部暗号化の話が固まっていたが,Ver10.0では1と2にわかれている。

Ver10.0では「Linuxシステムに鍵を使って接続し,正常に切断できる」が項目として切り出され,1の範囲になった。そして,sshが1の用語になり,2からはsshが用語としてなくなっている。

また,鍵の種類のファイル名の詳細の提示が減った(id_rsa, id_dsaの両方必要だったのがrsaのみでOK)。鍵の種類のファイル名も1のみで,2からは消えている。

また2には「主要な暗号化アルゴリズムと特徴を知っている」という項目が追加されている。rsaとecdsaとed25591の3つが例である。

OpenSSH 2サーバのホストキーの役割について理解している,という項目が消えて,SSHポート転送のとこは「(X11トンネルを含む)」が消えている,というマイナーな変化もある。

101対策

あずき本を使う場合の結論としては,102の「暗号化によるデータの保護」の「SSHの活用」の直前の部分までを読んで(p435~p442),ひとしきり理解しておきましょうと。ただし,ssh-keygenの部分だけ暗記しなくて良いということである。

また,説明のうち~/.ssh/authorized_keys, ~/.ssh/known_hosts, ~/.ssh/id_rsa, id_rsa.pubは1の用語例としてでてきていることも注意。それを踏まえて,もう一回もとの部分の説明とここの説明を理解したうえで暗記しておけば良いと思う。

「暗記」と書いているのは,シラバスの「鍵を使って接続し,正常に切断できる」という書き方や用語例の多さから判断したことである。この書き方は,相当に高い理解度と暗記度を求められそうと判断するのが自然である。

そもそも,個人の感覚としても,Linux使えますと言いつつ鍵を使ってログインする方法がわからないとか,IT少しわかりますといってるのに公開鍵暗号のさわりがわからないとか,それはまずくない?というのもあるけど。

相対的に考えても重要度は低くないと判断できる

公式の新旧対照表ではここはVer4.0のブートの項目を引きついでるが,実質を見るとVer4.0のブートの項目はほほ全部カットであり,引き継いでる項目は皆無といっても過言ではない。

さらに,新シラバスのこの項目をよく読むと,鍵を使ったログイン以外の項目は薄い項目である。

よって相対で考えても,ここでのsshの重要度は高いと思っておきたい。

初心者は102の部分を読まないと101の説明は理解しにくいと思う

私は,あずき本の101の説明は,だらたら書かれていてさっぱり頭に入ってこなかった。102の図と説明をみて一瞬で話を理解して,これは暗記でもなんでもなく一般常識か,という気分になった。

ssh公開鍵暗号方式を使ってログインできるとか,公開鍵暗号式の常識レベルの知識があってテキストを読んだ状態でこれである。初心者であずき本を読む人は,102の該当部分の説明は絶対に読むべきである。

なお,ping-tの説明と問題はしっかりと対応されていた。そっちを使う場合は安心して良いと思う。

102対策

逆に102ではsshという用語がシラバスから落とされている。教科書を普通に読んでいると,ここを重点的に勉強してしまう。しかし,ここが102では範囲外に近い扱いである。101で済なのだから当然といえば当然である。

sshの大部分が範囲外になるということは,相対的にいうことは他のところの出題が増えるということである。そういう対策をしておきたい。ただし,トータル重要度3なのでどこまで踏み込むかは迷うが。

SSH

ssh-keygen, ssh-agent, ssh-addは残っているトピック。そこの重要度は以前より高まっているということになる。

主要な暗号化アルゴリズムと特徴を知っている

ここVer4.0にはない項目。

まず,あずき本で太字のdsaはシラバスの用語例にない。

シラバスではrsa, ecdsa, ed25519の「特徴」が説明できることになっている。rsaとecdsaの特徴って何?と考えたとき,あずき本はその疑問に答えているかは怪しい。

手元の情報確保安全支援士のテキストをみると,2冊ともecdsaはよく読めば書かれてありますね,といった感じ。ed25519などない。

では何を聞くのか?ecsdaは楕円曲線を使った暗号であることを理解してるかを聞くのか?ここは。自分の中では,色々調べてこの程度の知識でこの程度の出題まで対応する,とラインを決めて割り切った。

特徴比較問題とrsaとかecdsaを素で書かせるとしたらどういうフリがあるだろうか?を検討して,ここまでの知識あればOKと割り切った。あとは,支援士の参考書でこのラインだから,だったらこのラインまで押さえておく,という検討をした。

ここは,各自「軽く」調べて試験に行くと良いと思う。

SSHポート転送について理解している

ここ,Ver4.0から微妙に変化している。SSHポートトンネル(X11トンネルを含む)について理解している,からの変化。

まず,このセクションからsshというキーワードが消えてることやX11という言葉が消えてるということを考えると,ポート転送の手順そのものはそんなに重要ではないのかな?というイメージ。理解しておくべきことは,SSHポート転送(カタカナ使いそうになる・・・)の一般論になるのかな,と。

ただ,この「理解する」というのも,この試験の想定受験者ががぱっと理解できるのか?と思ったり。自分は他の参考書も使って理解をしたが・・・・

実際のコマンドを出されても文句は言えないが,シラバスの字面だと出すのはちょっと違うよね,というイメージ。

基本的なGnuPGの設定および利用ができる

相対的にGnuPGの項目の重要度が上がっていることにも注意しておきたい。

sshの大部分が101に移り,Ver4.0の「OpenSSH 2サーバのホストキーの役割について理解している」という項目も落とされていること,また前2項目は概論的な知識の要求項目であることから,そのように読み取れる。

問題作るのがものすごく楽なので,出題者側としては気軽に出しやすい。それを踏まえてもしっかり対策しておきたい。

最後に

前のシラバスLPICベース)に比べてだいぶん良くなったけど,それでももう少しシラバスうまく書けないかな,と思う。何度も同じこと書き続けることになるんだろうけど。レベル1の本来の受験者層が,ここに書いたことを自分で考えられるとは思えない。

公式が出している新旧対照表については致命的だと思う。101の起動の項目に,110.2の一部の項目をここに持ってきたと明記していないのは,少し擁護できない。シラバスを何度読んでも,これはごっそりと110.2の項目を101に持ってきているとしか言えない。

あと,102を受けに行くときに101の話もちらっとは覚えた状態で行きたい。仮に,試験側が旧問題からのプールを一部流用しているとし,かつ,試験出題者の主観やうっかりで出すことがありえるので。だいたい,出題者が「102では用語例では明記していないが,流れとしてこれぐらいは常識。」とか考えて,出題プールの中に残されていると目もあてられないので。