余弦定理を使うか座標を使うか
先週のABCの問題。
時針の長さ・分針の長さ・時刻が与えられたときに時針の先端と分針の先端の間の距離を求めよという問題。
解説が余弦定理になってて余弦定理をぐぐってる人多数だったことにびびる。
この問題で,余弦定理を使っても脳のリソースを消費しない人はすごいと思う。
厳密な意味での三角形にこだわるなら位置関係の考察が面倒
三角形を使って考察するという時点で,私の中では次の2点で頭を抱える。
- 時針と分針の位置関係の考察が発生する
- (挟む角度を0から180度にするように計算するなら)何らかの場合分けが発生しそう
解答はさらっと書いてるけど,解答の角度を求める式で0度・負の角・180度から360度までの角が式の形とでそう。「三角形の問題」として考えるならこれらを回避する式を立てないとということになる。
ただ,常識で考えてとかでどうせなんとかなるに決まってるとか,余弦定理の証明は(教科書は)座標で距離でやってるので0度とか負の角とか入れてもなんとかしてくれるんじゃない?って感覚はあるけど。
図形で解くときはこういう場合分けを考えないといけないのでp計算機があるなら座標計算に持ち込むのがシンプル。そういう感覚が頭の中にあるので,余弦定理を使うとわかっても第一選択にはなりにくい,というのが私の感覚。
座標で取ると頭は使わなくて良い
まず,座標の取り方が時計回りが正の向きになるように取ってあげる必要がある。それさえ注意すれば単純作業。小数計算が多数発生するはずなので,まあ桁落ちとかなければないなと祈りながらやるぐらいか。
ただ,座標のないところに座標を書き込むのは,少なくとも偏差値がある程度以上の受験数学をやった人の感覚のような。これもこれで訓練は必要。
教科書レベルだと,座標のないところに座標を入れるのは教科書では中線定理の証明とその前後にある例題ぐらい。なので,一定以上の受験数学を経験しないと訓練回数は足らないような。
複素数って発想はなかった
複素数の絶対値なら自動で計算してくれるということで,複素数に持ち込むって発想が斬新で面白いとは思った。
7000人程度に解かれてることがびびる
どっちで解いたとしても,教科書レベルに見えてそうでもない問題といったイメージ。これが7000人に解かれてるわけでびびるな。数学弱い人がこのサイトにレートを上げるつもりで参加するのはつらすぎるとしか言いようがない。これは努力は裏切るということを意味してるわけだが,まあこの世界,元々のスペック差が相当にある世界なのでそんなものなのでしょう。
こういう問題が高校の数学の授業で扱えるといいんだけどね・・・
- 座標と余弦定理の使い分け。メリット・デメリット。よさ。
- 座標の距離計算から余弦定理は導けるので,本質的には同じことをやってるのだからどっちも同じ。
- 複素数に持ち込んでみると,コンピュータの用意されている道具によっては扱いやすくなる。
あたりを題材に色々と話すことはある。ただこういうのって,自明な人には自明だし,説明しても一生理解できない人には理解できないしとなかなか扱いにくいんですよね。
数学活動とかいってる人たちは,こういうのをうまく授業に乗せて欲しいですね。(自分はもうそういう世界から降りた側)
このサイトの問題,そういう題材としてほんといい問題が多いんだよな・・・