某社6年の算数教科書をみながらなぜデータを並べ替えてから処理しない?と思う(2) ドットプロット

後でちゃんとリライトして、関連記事のリンクなど貼るとする。内容は前回の続きである。完成品をちゃんと書こうとしたらいつまでも未完成なので、不完全でもアップしていく方針を取る。

実は、ここで書く話は全てPowerPointできれいにまとめた図がある。しかし、それは業務関連で使おうと思っているので載せられない。。。

データの再掲

ソート前

小屋Aのデータ

53 48 58 63 65 58 53 56 58 57 60 55 67 50 62 57

小屋Bのデータ

50 63 54 74 63 45 54 67 60 47 68 52 57

ソート済

小屋A

48 50 53 53 55 56 57 57 58 58 58 60 62 63 65 67

小屋B

45 47 50 52 54 54 57 60 63 63 67 68 74

ドットプロットを描く

教科書ではここで数直線上に点を取らせて言っている。おおざっぱに言うと次のような2つの図を用意させている。小屋Aを見本で、小屋Bを自力で作業させることになっている。

小屋A f:id:baruku07:20180813230535p:plain

小屋B f:id:baruku07:20180813230622p:plain

教科書で、目がもう少し細かくて、それも点を打つ時に①のようにデータ番号を入れた点にしろと言っている。

図からわかることを考えるのが趣旨なのにちゃんとやると全て中学校の指導事項になるというオチ

評価基準は

  • 散らばりの様子を調べる必要性について考え、資料を統計的に考察することができる。(考)

実質レンジを求めさせてる

教科書では、まず、設問として範囲(最大-最小)を計算させる設問が付いている。範囲は中学校指導事項では?と思わないでもない。設問の意図を指導者がわかってない場合は、ただの作業となり悲惨である。

せっかくレンジをもとめさせたのであれば、数直線の最大と最小を結ぶ線を、数直線の下に描けば良いのにと思う。そうしたら、AとBの長さが違う、すなわち、レンジの意味での散らばりが違うということが視覚的に明らかになるのだから。そして、最大-最小の計算は、この長さを計算させた、ということになるという説明で終わりなのに・・・

平均値のまわりにデータが散らばるとは限らないが言いたいことらしい

平均値の値の部分に追加でマークをいれさせる設問もある。その上で、データは常に平均値の周りに集まるのだろうか?という設問をつけている。たぶん、小屋Bのデータをみてそうではないと言わせたいのでしょう。

なお、それ以上の踏み込みがないということである。小屋Aは平均周りにちらばってて小屋Bが平均周りにちらばっていないという傾向が明らかになったのだから、「ゆえに平均値の比較はこの場合は適切でない可能性もありえる」というメッセージがぱっと思いつく。しかし、そういうメッセージはどこにも書かれていない。

小屋Bのデータでいうと75はちょっと飛んでる値だからそれも少しだけ頭の片隅に置いておかないと・・・などということはないのである。並び替えする意味って、こういう異常値(この場合は異常ではないと思うが)を見つけるのが一つの重要な目的なのだから、これも指導しないということは私の感覚ではありえない。

とにかく中途半端

以上で書いた指導事項は中1ということになっている。しかし、ドットプロット描かせておいて、平均だけはみてはならないことを示唆しておいて、でも「なぜそうなのか」をちゃんと説明するのは中学である。この説明なら「平均だけみて判断して何が悪い。図なんて面倒なことをしなくて良い。」居直られてもなんの文句も言えない。

作業の検討

点を描くという手作業は一回は経験しておくべき

グラフの点が何を意味しているかを知るためには、データの値を実際にグラフに描きこんで見る手作業は必要である。

並べ替え済のデータを使ってはだめなのか?

データと点の対応関係を指導するだけなら、たとえデータが並び変わっていても問題ない。もしデータが並べ変わっていれば、数直線の左から順番に点をひたすら描いていくだけである。作業がすぐに肩がつく。所用時間がかなり違うと感じるのは私だけだろうか?並べ変わっているとミスをしたときに見直しやすいというのも大きい。

先に書いた評価基準では、ここは、思考・判断・表現を狙いとしている。だったら、なおさら理解とは関係ない作業は省略すべきてある。

ドットプロットを描くことで手作業ソートが自然にできることを学ばせるという主張もあるが・・・

手作業では、データのソートは難しい。このプロットの作業をすると、必然的にデータが並べ変わった形でいう。ソートのアルゴリズムでいうとバケットソート相当の作業である。

では、このアルゴリズムを数学のこの時間で学ぶべきかというとそうではない。

この単元で、手作業でソート作業で苦労すると、「図を描くのは面倒だから平均値だけでえいっと比べてしまえ」という学習を子どもがししてしまう可能性がある。「平均の値だけで考察をするとやけどするから、とりあえず分布がわかる図を描いとこうね。」というメッセージを伝える授業で、その逆の思考に至ることはねらいに適しているのだろうか?とてもそうだとは思えない。

描画をコンピュータでできないか?

上の図はRで描いた

上の図はRで

x <- c(45,47,50,52,54,54,57,60,63,63,67,68,74)
stripchart(x, method="stack",at=.02,offset=.5,pch=19,xlim=c(45,75))

として1つずつ描いたものを、スクショしたものである。描画画面を2つに割ってちゃんと描くとかすれば良いのはわかっているけど、Rを日常的に使ってないのでそこまで調べられない。ということでこの手抜きで描いた。

Excelでもできる

Excelでも似た図は簡単に描ける。連続データで横側に45から75という数字を並べた方眼紙を作って、丸を描く代わりにセルの塗りつぶしをして色をつけてやれば描ける。

図を示せば何を言っているかはすぐにわかるのだが、業務で使う可能性があるので当面省略。(そのうち載せるかも。今は画像検索があるから検索で身バレするとね・・・)

方眼紙でやった場合、整数と整数の間はくっつくことになる。これは厳密さを求める立場からはまずい。でも、手で点うつよりよっぽど楽しいし(セルの上で色ぬりボタンを押すだけ)、できあがったものもきれいである。